連載よみもの【しあわせ・ざ・おなか】

最終章◆前編

今日もいつもと変わらなく日中を過ごしていた。
入院生活も思えば約1ヶ月。また長く居座ってしまったなぁ…。
けど今回の入院は産まれるまでいなきゃいけないから、長期戦になるかな…
なんて考えていた。

その日の回診では、「そろそろ産んでもいい周期になるから、明日骨盤のレントゲンの予約を入れておこう」
と言われた。
そろそろ産んでもいい時期っていうのは、38週〜のことで、それより早いと「早産」っていうことに位置付けられてしまう。
自分の場合、体が小さいので赤ちゃんがちゃんと骨盤を通れるかどうか、レントゲンで骨盤の大きさを検査するそうだ。
もし骨盤が小さかった場合、急遽帝王切開になる可能性もある。
この時は「帝王切開になってほしいなぁ」なんて甘い考えでいたりもして…。

この日の夕方、いつものようにダンナさんがお見舞いに来てくれた。
てゆーか、もうこれだけ長くなるとお見舞いの域を越えてるだろう(笑)
そしてこの夜は、ダンナさんの大好きな看護婦さんのKさんもいて、ちょっと嬉しげなダンナさん(笑)

この日、珍しくモニターを夕食後つけることに。
「何かあったら呼んでくださいね」と爽やかな笑顔のKさん。
自分もダンナにこのことをメールしたりして、余裕だった。
しかし、どうもモニターの調子が悪く、データが取れない。
ナースコールで看護婦さんを呼ぶ。

「今日はどうしたんだろうね。お腹の方は大丈夫そうだけど」

結局何度かやってみたけど上手く機械が作動せず、またあとでやることになった。
そしてもう21時も回ったし、ぼちぼち就寝に入るかと思った頃、「そういえば今日はなんとな〜くお腹が張ってるなぁ」ってことに気付く。
でもそれはいつものことだし、そんなに気にしてなかった。

寝ようとしてもなかなか寝つけない…。でもまあ、そのうち寝れるだろう。

その程度にしか思ってなかった。

寝つけなくてどれくらい経っただろう。
気付くともう深夜1時を回っていた。
「おかしいいなぁ…。ゴロゴロしてるから寝れないのかな」
「それにしても今日はお腹がよく張ってるな…」と思ってた矢先!

……ゴボッ!!
下半身に嫌な感触を覚えた。

「なんだこりゃ?」
慌ててトイレに掛け込んだ。
真っ赤な血の塊が出てるじゃないか!!
もうパニックと怖さで震えが止まらなくなった…。

慌ててナースコールを押す。
深夜なので、すぐに人が出ない。
「○○(本名)です。今トイレなんですけど、すっごい血が出てきちゃったんです」
もう「太陽にほ○ろ」の松田優作の気分。

「急いで分娩室に行きますよ!」
そのまま分娩台へと上がることになった。看護婦さん達の方が緊迫したムードだった。
運良く出戻り事件以来(第20回参照)、手術着を来ていたので着替えとかはしないで済んだのだった。

このせいで、モニターで計れなかったのか。
と、今になって思う。

しばらくして当直の先生が登場する。
…うわっ、副院長のS先生だ。この人、正直ちょっと苦手なんだよな。。
…なんてまだ余裕のあったワタクシ(笑)

S先生曰く、「子宮口が4cm開いてるね。このまま行けば明日のお昼くらいにはイケそうかな」

え?明日にはついに産まれるってことっすか?
出産に対する現実味が沸いてきて、急に怖くなってきた。
未知なる痛みと恐怖にこれから何時間絶えなくちゃいけないんだろう…。

そこへ看護婦さんが「家族の方に連絡しますね」と言ってきた。
もともとダンナさんと実家の両親には、分娩室に入ったら連絡することになっていた。
「夜中だから寝てるかもしれないんで、出るまで鳴らしていいですから」と話す。

しばらくして看護婦さんが戻ってきた。
「あの〜ダンナさん、出ないんですけど…」

はぁ?
オイオイ、頼むよダンナ。
「すみません、出るまで鳴らしてください」
これほど情けないことはないなぁ…。
そんなこと思ってると、「今ダンナさんに繋がりました。すぐ来るそうですよ。

緊張感のないヤツだなぁ…。これから大丈夫か?
いろんな意味での不安を抱きつつ、陣痛はどんどんひどくなっていくのだった。

つづく
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